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概要
十二支の一つ、猪。干支なら亥と書きますね。この猪、ジビエとして食される一方で天敵のいない日本国内では農作物を食い荒らす害獣扱いもされますが、神道でも仏教でも登場する立派な神使・眷属です。
神道では、和気清麻呂との関係です。和気清麻呂と言えば弓削道鏡による皇位簒奪を宇佐八幡宮の託宣によって防いだ英雄ですが、そこに至るまでには天皇・朝廷を我が物にしていたのですから、そう安々と英雄になれた訳ではありません。そこには命懸けの執念と確信とがありました。その命懸けの場面の一つに宇佐八幡宮へ向かう清麿に道鏡の追っ手の手が迫ります。そして足の筋を切られ歩けなくなった清麿は輿に乗って山道を歩くのですが、追っ手が引き下がった訳ではありません。歩けない清麿を討ち取ることなど簡単だと思われたことでしょう。ところが、三百頭の猪が現れ、その内の10頭が輿を先導する形で清麿は無事、宇佐神宮にお礼参りをすることが出来ました。更には神告に従って霊泉に浴すると足も治り再び歩けるようになったのです。その後は良く知られているように称徳天皇が崩御、光仁天皇の即位により天皇家は安泰となったのです。
また、仏教では摩利支天の眷属です。摩利支天は陽炎が神格化されたもので、このことから相手の攻撃に傷つかず、更に自在の神通力を操るということから楠木正成や山本勘助、前田利家など名だたる名将が篤く信仰と言われます。更には忍者や山岳信仰など広く信仰を集めました。そして、この軍神としての性質の他、商売繁盛や五穀豊穣など、様々なご利益を迅速に届けてくれるのです。このスピード感の象徴が摩利支天が乗る猪なのですね。
縁起、ご利益
ご利益については摩利支天を参照ください
姿
比較的リアルに作られていることもありますが、干支での絵馬などではイラストとして可愛らしいキャラクターになっていることもあります。
観られる主な神社仏閣
徳大寺:摩利支天をご本尊としており、境内には猪の像も置かれています
摩利支天尊・日先神社:摩利支天尊とお稲荷さんをお祀りしています。