目次

素盞鳴命

神様の概要

【別名、別記法】建速須佐之男命、速須佐之男命、須佐之男命、素戔男尊、素戔嗚尊、須佐乃袁尊、神須佐能袁命、須佐能乎命、牛頭天王など

【祀られている主な神社】
京都府京都市 八坂神社
埼玉県さいたま市 氷川神社

【神使】

神様メモ

 素戔嗚尊。天照大御神の弟であり、そして八岐の大蛇を退治したことで有名な神様です。天照大御神を除いては、最も有名な神様かもしれません。
 この2つの「顔」、素戔嗚尊の2つの極端に違うキャラクターを表しているように思います。まず、天照大御神の弟としては、天照大御神、月讀命に次いで鼻を濯いだときに産まれたと古事記に表されています(日本書紀では、月讀命の次に蛭児様が生まれ、その次に素戔嗚尊が誕生しています)。
 古事記では、誕生後、須佐之男命は夜の食国または海原を治めるように言われるですが、これを断り、伊耶那美命のいる根の国に行きたい言い出し、怒った伊邪那岐命は素戔嗚尊を高天原から追放してしまいます。ここでのキャラクターは完全な我儘な悪童神で、そのわがままの度が過ぎて勘当されたということでしょうか。
 ところが、根の国へ向う前に姉の天照大御神に別れの挨拶をしようと高天原へ上ると、攻め込まれたと思った天照大御神は武装して応対します。これに対して素戔嗚尊は疑いを解くために誓約を行い、攻め込む意志のないことを証明します。
 これで大人しくなれば、少年から大人への脱皮として大団円なのかもしれませんが、素戔嗚尊の我儘は更にエスカレートしていきます。姉に許され高天原で過ごすうち、徐々に粗暴さが露見することになります。
 まずは畦道を壊し水路を埋め、次は神殿に糞を撒き散らし、更には馬の皮を生きたまま剥いだ上に死体を機織り場に天井から投げ込みます。これは中で働いていた女神に対して驚かせようとしたのでしょうか。ところがドッキリでは済まず、女神は持っていた杼が女性器に突き刺さるという非常に辛い形で亡くなってしまうのです。天照大御神としては、自分のテリトリー中でいくら弟とは言え、ここまで残虐なことを繰り広げられては恐怖を感じるのも当然です。そこで天の岩屋伝説へとつながるのです。
 この天の岩屋の一件で、完全に高天ヶ原のアウトサイダーとなった素戔嗚尊。悪童神、そして荒ぶる神としての完成形と言っていいでしょう。
 そして、ここから素戔嗚尊 シーズン2へと入ります。出雲の鳥髪山に降臨した素戔嗚尊は、美しい櫛名田比売命と出会います。ところが、この姫、八岐の大蛇の生贄にされる寸前だったのです。これに対し素戔嗚尊は櫛名田比売命を歯の多い櫛に変えて髪に挿して、八岐の大蛇に立ち向かい退治してしまうのです。八岐の大蛇の尾からは立派な剣、後に天皇の三種の神器である草薙の剣が取り出されてきます。悪童神が、ここでヒーローへと変身するのです。
 そしてその後、櫛名田比売命を娶り、出雲の根之堅洲国にある須賀(現在の島根県雲南市)で暮らしたと言われます。ここからヒーローから最初の和歌を詠んだという芸術家キャラが脚光を浴びることになります。それはそこで、
  八雲立つ  出雲八重垣   妻籠に   八重垣作る   その八重垣を
と詠んだのです。美しい妻を娶り、安心して一緒に暮らすために八重の垣に囲まれた屋敷を作る。そんな思いを込めた歌だと言われています。そして、ここから「八雲」は出雲を象徴する言葉となり、素戔嗚尊を祀る神社に「八雲神社」が見られる所以だとも言われます。
 その後、子として八島士奴美神が生まれ、その子孫に大国主神が生まれる事になります。
ここで、悪童→ヒーロー→父親と、さらなる進化が見られますね。

 そして、一人の神様としては異例とも言える多彩なキャラクター。このことから様々なご利益を頂けるありがたい神様でもあります。

ご神徳

関係する神様

天照大御神(姉神)
伊邪那岐尊(父神)
伊耶那美尊(母神)
櫛名田比売(妻神)
大己貴神(子神)