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宝蓮寺(寶蓮寺)
「たおやかさ」と「重み」の同居するお寺
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御由緒
「サカバカ」との言葉が自転車ファン(一部かな?)の間にあります。ひたすら急坂を肺と心臓を限界まで有効に働かせて登り切る事に喜びを感じる人達です。私も一時はロードレーサーに乗っていたので、気持ちは分かるのですが「サカバカ」にはなれませんでしたが、奥多摩湖までは登りきった事はあります(ちょっとだけ誇らしい😁)。ただ、そんな中でも一目置かれるのが「ヤビツ峠」です。阿夫利神社のある大山への登山道に繋がる峠道ですが、半端なく勾配がキツく、世田谷の我が家からロングライドして登り切る。なんて気すら起きなかったロードバイク乗りの聖地です。このヤビツ峠に繋がる県道70号線に面した寶蓮寺。目立つのは、ご本堂よりも大日堂かもしれません。
手作り感のある案内板にも「大日堂」とだけ書かれた矢印で示されているので、御府内八十八ヶ所の一寺、佛乗院へお参りに行った後でお詣りすることにします(佛乗院の途中にあるマス釣り場脇にある川を越えるルートもありますが…飛び石が不安定なのでお勧めしたくないです)。
まず、県道70号線から大日堂に入るには仁王門を潜ることになります。由緒書には平安期の造像と見られるとあることから、世田谷なら観音寺の仁王様に近い(かな?平安時代って長いので)、非常に古い仁王像です。大きな仁王像の迫力に圧倒されつつも、阿形吽形ともに見開かれた目に愛らしさすら感じてしまいます。
この仁王門の正面に建つのが大日堂です。大日堂には五智如来(大日如来、阿閦如来、釈迦如来、宝生如来、阿弥陀如来)と薬師如来などが安置されていて、お寺で頂ける御朱印にも薬師如来と書かれます。また都内では如来寺で大井の大佛として五智如来様がお祀りされていますが、阿閦如来の代わりに薬師如来がお祀りされている事もあり、阿閦如来にお参りできる機会は余り無いように思います。他にも丈六のお地蔵様などもありますが、こちらは役行者が愛川町八菅を訪れた時、薬師・地蔵・不動の各像を彫り、この三尊の像を投げ上げると、薬師如来は日向へ、地蔵菩薩は蓑毛、不動明王は大山に落ち、それぞれで祀られたと言われているそうです。そして、こちらの地蔵菩薩が正に役行者の作られた像なのだそうです。役小角は欽明天皇の御代に生きた行者ですから、飛鳥時代にまで遡る聖域ということなのでしょう。
更に奥に進むと不動堂、閻魔堂などのお堂が続きます。小窓から覗けるお不動様は、遠目で見る形にはなりますが、ギクリとするような憤怒相で利剣と羂索が今にも飛んでくるような迫力があります。元は7世紀に渡来人の秦氏が守本尊の不動明王を祀った事に始まるそうですが、現在のお不動様は江戸時代の作と推定されています。
こうした古仏の迫力と更に奥にある御嶽神社まで歩みを進めると、歩き回ることには慣れ始めた鬱患者でもかなりのダメージ。でも、良い仏様だけではなく、先程書いたサイクリストの聖地がヤビツ峠なら、この大日堂を含め、蓑毛と言う一帯自体が聖地だと感じることができるのです。
こうした仏像やお堂を持つ蓑毛山 寶蓮寺。ご本堂は県道を渡った先にあります。そして元々は、覚王山・金剛山・医王山・蓑毛山の山号と安明院・薬音寺・茶湯寺・宝蓮寺などの寺号が伝えられてきたそうですが、現在は「蓑毛山 宝蓮寺」と号しています。大日堂側は、古く周囲を鬱蒼とした林に囲まれているせいか、何か重々しい雰囲気を感じさせますが、ご本堂のある境内はのんびりとした空気感に包まれています。この道路に隔てられた2つの境内、少し気持ちを休めたい時にはとても良い刺激になりそうな気がします。
さて、こうした歴史の詰まったお寺ですが、宝蓮寺としての歴史は鎌倉 建長寺の十三世で後嵯峨天皇の第二皇子の仏国応供広済国師(仁治2(1241)年〜正和5(1316)年)が開山とされているので鎌倉時代の創建となります。
私見ですが
初参拝は2022.3.17。何の気無しに覗いた…と言っては失礼ですが、大日堂側の景色や仏像の数々に圧倒され、それならご本堂にお参りして、御朱印も。と2つの境内にお邪魔しました。しかし、お参り後に寺務所へ伺うと「今日はちょっとできません」と、恐らくご住職が不在で書けない様子。でも、これだけ気持ちの良いところだから「また来いよ」という仏様のご指示なのかと思い「また改めます」と言って辞去。
と言うつもりでしたが、山門側に振り返ってみるとお坊さんが歩いていらっしゃいます。不躾な事ですが「お寺の方ですか?」と尋ねると「そうです」とのお返事。尼僧です。「もし、できたら御朱印をお願いできませんか?」と伺うと御朱印帳を受け取ってくださいました。
暫く待っていると、薬師如来、そして地蔵菩薩の御朱印を頂き、感動でした。ご本堂側の柔らかな空気感は、このご住職の雰囲気そのものなのでしょうね。
世田谷からでは、易易と参拝を繰り返すことはできませんが…また訪ねたい!そんなお寺が増えました!
お気に入り度
★★★★★
雰囲気
★★★★
アクセス(駅近、駐車場など)
★★ (駐車場あり)
寺院概要
【山号/院号】 蓑毛山/-
【宗派、御本尊】臨済宗建長寺派/一字金輪仏頂尊像(お釈迦様?)
【所在地】 神奈川県秦野市蓑毛674
【アクセス】小田急電鉄 秦野駅から秦20系統(蓑毛行き)蓑毛から徒歩すぐ。
【開山】 鎌倉時代中期〜後期
【ご朱印】 あり
※ 複数種あり
【ご朱印帳】
【HP】 はだの大日堂保存会
【SNS】 なし