品川寺(ほんせんじ)

江戸六地蔵 一番

御由緒

 真言宗醍醐派 別格本山の品川寺。読み方は「ほんせんじ」です。その開創は大同年間(806年-810年)と言いますから、今から1,200年以上前の平安時代初期、開山は弘法大師と伝えられる品川区内最古のお寺です。
 ご本尊は、弘法大師作とも言われ、大師が東国遊行をした際、押領司…つまり領主のような立場だったのでしょう、その品川氏に授けられたものだそうで、代々、品川氏によって伝えられていました。応永2(1395)年、品河左京亮が当主だった時に起きた足利氏と上杉氏が争った上杉禅秀の乱で一族が滅んでしまいます。しかし観音像は草堂に隠され無事でした。そして草堂は観音堂として信仰を集めるようになります。
 室町時代後期、太田道灌の勢力が大井に及んできます。すると道灌が「水月観音」を信仰した上、自分の持仏である「聖観音」像を観音堂に移して合わせて安置したのです。更に長禄元年(1457年)に道灌は築城した江戸城へ移ると、観音堂に伽藍を建立し金華山普門院大円寺と号するようになります。
 しかし、その後、三増峠の戦いなどがあった永禄12(1569)年ごろでしょうか、武田氏の北条攻めにより北条氏配下であった品川にも戦火が及びます。これで大円寺の伽藍は焼き払われ、観音像も武田の侍によって甲斐国へと持ち去られてしまいました。ところが、この無礼は御本尊の怒りを買ってしまったようです。持ち去った侍は発狂し、御本尊を品川の大円寺に返すようにいったのです。ところが、信玄の立場となると甲斐の虎と呼ばれているとは言え、再び敵地の品川に仏像を返すためだけに人を送るのは至難の業です。そこで不意に現れた乞食僧に頼んで品川まで運ばせたのです。そして乞食僧は草堂を作り、本尊を祀ります。
 こうして一旦は、荒廃というよりも廃寺に近い状態になった本泉寺でしたが、中興が現れます。それが山形からやってきた弘尊上人です。彼は夢に出てきた老人の言葉に従って草堂に住持しとなると、文元年(1652年)に四代将軍の家綱公から4,800坪という広大な寺領を拝領したのです。更に太田一族からの信仰から、大伽藍を再興、建立して寺号も「金華山普門院品川寺」へと改号し、後に山号を現在の「海照山」へと改めています。その後、松平讃岐守や松平阿波守などからも信仰を集め、見事に再興を成し遂げた上人は何と140歳の生涯を終えています。また、この長寿から「壽命觀音」と呼ばれた事もあったようです。
 実は品川寺から持ち出され、その後、戻ってきた寺宝は御本尊だけではありません。それが梵鐘です。第四代将軍 徳川家綱の寄進とされ、つまりは弘尊上人の発願によって作られた六観音像を刻まれた梵鐘は、幕末に海外へ流出してしまいます。そして1867年のパリ万博、そして1873年にはウィーン万博に展示されたと伝えられたのですが、その後は行方不明に。しかし、お寺の執念でしょうか、大正8(1919年)年に当時の住職、仲田順海が梵鐘がジュネーヴ市のアリアナ美術館に所蔵されていることを突き止めて、返還交渉を開始したのです。この交渉には外務大臣 幣原喜重郎なども動き、ついにジュネーヴ市議会が返還に同意したのです。今のようにネットを使ったコミュニケーションどころか、往来も不自由な時代ですから、難事業だったことは想像に難くありません。
 現在、平成3(1991)年から品川区とジュネーヴ市は友好都市になっています。が、この関係構築の基礎になったのは、大正時代の返還運動にあったのでしょう。その証拠のように同じ年、品川寺からジュネーヴ市に新しい梵鐘が贈られているのです。
 さて、長くなりましたが、もう一つ触れておきたいのが、江戸六地蔵の一番である、銅製の地蔵菩薩像です。残念ながら、永代寺あった6番の地蔵菩薩像は明治時代に壊されてしまいましたが、他の五躰の地蔵尊と同様、優しい顔で座っています。ただ、特徴的なのは、こちらの地蔵菩薩は傘をかぶっていません。他とは明らかに違うのですね。これは、関東大震災の影響だそうです。震災の揺れで落ちてしまった傘を再び作り直すという案もあったそうなのですが、結果としてそのままにして今に至っているのです。これは、これで時代の記録を刻み込んでいるということなのでしょう。


 
 

お気に入り度
 ★★★
雰囲気
 ★★★★
アクセス(駅近、駐車場など)
 ★★★

寺院概要

【山号/院号】 海照山/普門院

【宗派、御本尊】真言宗醍醐派/水月観音菩薩、聖観音菩薩

【所在地】 東京都品川区南品川3-5-17

【アクセス】京浜急行電鉄 青物横丁駅から徒歩5分

【開山】 平安時代

【ご朱印】 あり

※  御本尊の他、七福神(毘沙門天)や江戸六地蔵など多種あり

【ご朱印帳】

【HP】 オリジナル

【SNS】 なし

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