放生寺

御由緒

一陽来復で有名な穴八幡宮の隣りにある放生寺。このお寺は、寛永18年、良昌上人により建立されています。
もともと、穴八幡が1062年に源義家によって建立されていしたが、時代が江戸へと変わり、その別当寺として建てられたものです。つまり穴八幡の管理を目的にしていたようです。この理由に思い浮かぶことがあります。まず、ここに松平直次が的場を置いたということ。松平直次が単なる大名や侍なら話が繋がらないのですが、この人は「御持弓頭」を勤めていた人なのです。と言っても、ピンと来ないかもしれませんが、

江戸幕府の職名。弓隊の長で、御持弓与力・御持弓同心を率いて、将軍を護衛する。平時は城内中仕切門を警固する。千五百石高で二人置かれていた。

Weblio辞書

と、今風に言えば高級官僚とも言える人で、立場上、将軍の側近と言えるのかもしれません。では、なんでココに的場を置いたのか?ですよね。これがハッキリしないと言うか、想像を膨らませることになるのです。文書の多くは、松平直次自身が的場を作ったように書いているのですが、一部では直次の組に属する者が作ったとあります。それだけなら話はスケールダウンすることになります。しかも、この時期はまだ放生寺がなく、穴八幡(当時は高田八幡)しかない上に、この穴八幡が荒廃していた時期で、境内には神木の松があるだけと言うような状況だったようなのですね。八幡と言えば、武家、あるいは源氏の守り神であり、更には弓箭の守護神ではあるとはいえ、当時の神社は聖地として誰もが認識できる状況にはなかったのです。的場に適当な空き地を探していたら、自分たちの居宅に近い穴八幡の境内を見つけたのでは?とも思えるくらいです。そんな手近の適地でも、ちょっとした事が吉兆になります。ここの場合、唯一残った神木に3羽の鳩が住みついたと言うのですね。これを神仏が仮の姿を現したのだ!吉兆だ!とみたのです。
 ここから急に高田八幡のステータスが上がります。鳩は御存知の通り、八幡様の御神使です。これが職務である弓術の稽古の場に現れたのですから、吉兆と見るのは気持ちとして判りやすいですよね。それが上司である直次に報告されれば、チラリとでも将軍の耳に入る可能性があります。
 そして更にもう一つの動きがでます。これが良昌上人です。上人は元々高野山の奥の院にいた僧侶だったようですが、諸国行脚の旅にでます。そして寛永十六年、夢枕に老人が現れ「将軍家の若君が御降誕されるから祈れ」と告げたそうです。これを聞いた上人は、お堂に籠もり、必死に祈りを捧げたそうです。すると本当に後の4代将軍 家綱となるお世継ぎが誕生します。
 この能力者、良昌が近くに来たところで、またしても直次の部下が動きます。徳川幕府が進めていた寺社管理のため、高田八幡の別当寺建立を依頼するのです。同一人物ではないでしょうが、このような部下を持ったことは後の直次には、とても幸運だったのではないでしょうか。
 この良昌、穴八幡境内に草庵を建てようと、山の中腹に穴があります。そしてその中に金銅の阿弥陀の霊像があるのを見つけてしまうのです。八幡神と言えば、八幡菩薩のように言われますが、阿弥陀如来が本地仏と扱われることもがあるので、先程の鳩と同様、この阿弥陀如来像も「吉兆」となるのです。
 このように鳩→(良昌)→阿弥陀如来像と吉兆の重なりの中で、更に穴八幡、そして放生寺のステータスを確実にし、その後、将軍家から篤く信仰された要因は、4代将軍 家綱の父である家光の存在です。家光が鷹狩りの際、休憩地として寺を訪れ、良昌と会話をします。そして寺の由来を聞き「光松山放生會寺」の社号を頂いたと言われています。この事から、もしかしたら薄々は報告されていた良昌の祈り、祈願の事実を家光が確認をしたのかもしれません。しかし順序はともかくとして、この時から放生寺が将軍家から篤く庇護される寺院となったのですね。
 この逸話の下敷きは松平直次の的場がスタートです。これだけなら何ともない「稽古場」で終わったのかもしれませんが、ここに鳩が現れ、家綱が誕生し、その予言を得て祈願をした良昌が現れ、そして阿弥陀如来が現れと、次々に吉兆と幸運が重なって将軍家の庇護を受ける寺院となったのですから、直次も鼻高々だったのではないでしょうか。ちなみに、良昌は山口の八幡神社の氏子だったとも言われています。

寺院概要

【山号】 光松山

【院号】威盛院

【宗派、御本尊】高野山真言宗 準別格本山、聖観世音菩薩(融通虫封観世音)

【所在地】 東京都新宿区西早稲田2-1-14

【アクセス】東京メトロ東西線 早稲田駅から徒歩2分
      東京メトロ副都心線 西早稲田駅から徒歩10分
都バス 学02・早81・早77 馬場下町から徒歩1分

【開山】 寛永18年(1641)

【ご朱印】 あり

※  特記なし

【ご朱印帳】 あり

【HP】 オリジナル

【SNS】 なし

地図

寺院お得意のご利益

子供の疳の虫封じ、腰痛平癒、足腰祈願、悪事災難除、除災招福、財宝融通、家業繁栄、老若男女の虫封じ、病気平癒、心願成就

ひと足伸ばして

ギャラリー

参拝記

 冬至で穴八幡への参拝を終え、そのまま放生寺への初参拝となりました。穴八幡のとんでもない行列とは比較になりませんが、それでも十分に人混みと呼べる状況の境内。じっくりと見て歩きをしたかったのですが、押し出されるようにお参りをし、そして「一陽来福」のお守りを頂き、辞去。
 穴八幡は「一陽来復」ですが、こちらでは「一陽来福」なのですね。