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武田神社

御由緒

 武田神社は山梨の英雄、武田信玄公をお祀りする神社です。鎮座地は、信玄公の父、信虎公が永正16(1519)年、石和から移した躑躅ヶ崎館の跡です。
 この城址が神社となった経緯は少し複雑です。
 明治5(1872)年6月、明治新政府は地租改正を行い、武田信玄の治世から続くと言われた大小切税法の廃止を断行します。これに怒った峡東地域の村々が蜂起し、大小切騒動という一揆が起きてしまいます。この鎮圧で160人以上が逮捕され、処刑者までが事態となりました。
 山梨県庁は騒動の原因や今後の県政に対する障害を武田信玄にもとめ信玄を悪人として新聞などを通じて描き出そうとします。一方、全国的に自由民権運動が活性化し、その影響が山梨県にも及んできます。ここで明治政府は各地の偉人を崇拝する感情を尊重する方向を打ち出します。そして明治13(1880)年6月、明治天皇が山梨県を巡幸します。この中で天皇は武田信玄に縁のある神社仏閣の調査・保存を行うための保存金を下賜されたのです。この下賜、天皇が大小切騒動の鎮圧から沈みきった山梨県民に武田信玄へ心情を回復させ、その事で新政府への帰属意識を増幅させる事が意図されたという説もあります。そして、この事が武田神社創建の導火線になります。まず、県令の相談役だった第十国立銀行(現 山梨中央銀行)頭取を中心に自由民権家たちが賛同する形で「機山公霊社」が起こります。しかし、創建費用が高額な事などから、一旦、躑躅ヶ崎館は県立公園とされることになりました。
 それから約20年を過ぎた明治32(1899年)には「信玄祭祀神社建設運動」として霊社を求める声が再燃します。更にt5年後の明治37(1904年)、日露戦争の戦勝を受けて各地の神社に武神・軍神を祀ることが奨励されます。これが「軍神 武田信玄」を祀る神社を求める声を後押しすることになりました。ただ武田信玄には父親の信虎を追放した事で「親不孝な人物」と言う評価が明治政府が重視した「忠孝」の考えに合いません。そこで山梨県の郷土史家達が、この定説を覆す為、信玄の事跡発掘が盛んに行われるようになります。それらの研究成果も評価されたのか、大正4(1915)年、大正天皇の即位の記念として武田信玄に従三位が追贈され名誉が確立します。これが大きな契機となって大正5(1916)年、山梨県知事を総裁として「武田神社奉建会」が設立される、大正8(1919)年の信玄の命日、4月12日に漸く初の例祭が行われた。
 武田信玄と言えば、ライバル上杉謙信が思い浮かぶ人も多いと思います。神様となった後もライバル関係は続き、上杉神社が別格官幣社に指定されており、その対抗意識もあって武田神社でも昇格運動が繰り広げられました。
 そんな経緯がある神社は、現在も当時からの堀、石垣、古井戸や郭などが残されていて、お城マニアや戦国ファンにも見応えのある境内になっています。その中には黄金色の葉を落とす三葉の松があり、その黄金の落葉を身に着けていると「金運」のご利益があるそうです。

お気に入り度
 ★★★
雰囲気
 ★★★
アクセス(駅近、駐車場など)
 ★★★

神社概要

【御祭神】 武田晴信(信玄)公

【社殿】

【鎮座地】 山梨県甲府市古府中町2611

【アクセス】 JR甲府駅からバス

       中央道 甲府昭和ICから約30分

【創建】 大正8年(1919)

【社格】 旧県社、別表神社

【境内社】

【例祭】 4月12日

【氏子】

【ご朱印】 あり

※ 特記なし

【ご朱印帳】 あり

【HP】 オリジナル

【SNS】 Facebook

地図

神社お得意のご利益

  • 勝運
  • 殖産興業
  • 商業
  • 工業
  • 農業
  • 金運(三葉の松)

ひと足伸ばして

大正時代に創建された新しい神社です。それも米沢にある上杉謙信公を祀った上杉神社に触発されたように建てられたのですから、歴史的な価値に疑問を持たれる方もいるかも知れません。

でも、境内を歩けばわかりますが、神社は宝物殿をみるまでもなく歴史の塊です。この境内が「躑躅ケ崎館」の城址であるといえば、信長の野望ファンならピンとくるはず!神社の周りを巡る川のようなものがお堀だと分かるはずですし、拝殿から左手に回れば、いかにも城郭と思われる区画割りが見えてきます。神社の中でひと足伸ばしてみないのは、いかにも勿体無い!のですよ。

また、すぐ近くには山梨縣護國神社の、そして一の鳥居から甲府市街へと続く並木道の、4月の桜で覆い尽くされる景色は遠くに見える富士山と合わせて一見の価値ありです。

最近では、もつ煮込みとほうとうばかりに注目される甲斐甲府ですが、隠し金山で有名な武田信玄のご神徳を身にまとい、伝統工芸品「印伝」の財布で金運をキャッチ!なんて洒落てみるのは、いかがですか!?

…実は私、印伝で作られた財布や小物入れを愛用しています。金運をキャッチできているかどうかは内緒ですが(笑)、柄の多彩さだけではなく、丈夫で使いやすいんですよ。おすすめです。

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