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正光院
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御由緒
開山は寛永7年(1630年)、福岡藩藩主の黒田忠之が開基となっています。ご本尊は一条天皇誕生の祈願仏とされ、恵心僧都源信の作とされており、江戸時代には子安薬師として信仰を集めたと言います。なお院号は「しょうこういん」と読みます。
このように由緒正しく、また一見、古刹特有の風格を漂わせる境内ですが、戦後の10年間は無住で廃寺直前まで追い込まれていたそうです。
これは、昭和20(1945)年5月25日に行われた空襲で近隣の麻布周辺が焼け野原となりました。そして、正光院も本尊を含め、本堂や山門、庫裡など全焼してしまいます。また、折り悪く、前年の昭和19(1944)年、住職だった蓮真猛僧正が遷化されてしまい、寺縁のある日本橋小伝馬町の大安楽寺の兼務で賄われている状態でした。この為、再建へ前向きな動きが中々とれなかったのです。
これが、昭和30(1955)年1月、広島の千林寺から兼務住職として隆進僧正が着任し、焼け残った檀家名簿や過去帳、また焼け野原となる前の地図を頼りに檀家を一軒一軒訪問し、住職就任の挨拶、そして復興再建の懇請のお願いをして回ったそうです。また檀家名簿は墓参客に話を聞きながら整理、最新化を行っていったと言います。
当時、焼け野原となった境内には戦災を逃れた高野山東京別院から貰ったトタン葺きベニヤ張の小さなバラックが建てられました。それ以外、境内にあるのは瓦礫の山です。墓地も荒れ果て、瓦礫のお墓や、空襲で落とされた焼夷弾の筒が無数に転がっていて、危険な状態にもなっていたようです。このような廃墟の状態でも、お檀家さんはノコギリや鎌を手に墓参にやってきたと言います。
一方で再建の為の資金、浄財集めに奔走した住職は、更に瓦礫の山を片付け、墓地の整理、更には一家が全滅したお墓などもあることから無縁墓の合祀するなど、コツコツと檀信徒の協力を得ながら境内の整理を行ったそうです。
こうして再建を本格化しようとなったのが高野山開創記念大法会が終わった昭和41(1966)年。まず寺院としての経済基盤を確立するために、「本堂再建4ケ年計画」を策定していきます。そしてまずは、焼けてしまったご本尊様だけはいち早くお迎えしようと言うことで高野山親王院の中川善教僧正からの配慮で10月22日、現在の本尊である薬師如来様の勧請入仏法会を行っています。
しかし、昭和45年、計画としては終盤となっていたのにも関わらず、募金額は目標に達せず、総代役員で計画の修正を協議なか、昭和48(1973)年にオイルショックが起こります。これは進まない再建に更に追い打ちとなって、金融引き締め政策、そして狂乱物価となってしまい、再建計画自体を一時中断するところに追い込まれてしまいます。そんな中、救世主となったのが東京電力です。たまたま変電所新設配備計画のため、正光院境内地を借用したいと言う申し入れがあり、慎重に協議を進め、申し入れを受け入れることとします。しかし、東京電力と具体的な話し合いなどに入ると、やはり様々な問題もあり、工事着工は、昭和53(1978)年まで掛かってしまします。そして7月28日に地鎮法要が行われ、丸2年の工事を経て昭和55(1980)年9月に完成、11月24日には本尊勧請で骨を折ってくれた高野山親王院の前官 中川善教大僧正を導師に、盛大に落慶法要を厳修することができました。空襲・終戦から35年と言う月日がかかったのですね。なお、現在の堂宇の位置は 完成間近に調査判明した境内堂宇配置古図面と全く同じと言う少し不思議な話も伝わっています。
私見ですが
維新の廃仏毀釈は別に、震災や戦災で消失し、復興したお寺にも数多くお詣りしていますが、ここまで月日を要したお寺は初めてです。しかし、前記の通り、境内に入ると古刹の雰囲気が漂い、40年ほど前に再建されたものとは気づかない人も多いのではないでしょうか。空襲で多数の寺宝も失われたのでしょうが、この雰囲気が残されたのは前住職、またご当代や檀信徒さんの努力の賜物ではないかと思います。
お気に入り度
★★★★
雰囲気
★★★★
アクセス(駅近、駐車場など)
★★★★
寺院概要
【山号/寺号】 瑠璃山/-
【宗派、御本尊】高野山真言宗/薬師如来
【所在地】 東京都港区元麻布3-2-20
【アクセス】東京メトロ 南北線 六本木一丁目駅から徒歩8分
東京メトロ 日比谷線 六本木駅から徒歩22分
【開山】 寛永7(1630)年
【ご朱印】 あり
※ 特記なし
【ご朱印帳】
【HP】 オリジナル
【SNS】